2月末から3月は最も注目される映画祭の時期です。賞の行方は映画の興行に大きく影響します。ちなみに2025年は公開から節目の年を迎えるメジャーな映画がいくつもあります。サウンド・オブ・ミュージックの60周年はご紹介しましたが、その他に、Jaws (1975) は公開から 50 周年。Back to the Future (1985) は 40周年になります。いずれもその年の最高興行収入映画 (the highest-grossing movie) です。映画の大ヒット作はブロックバスターとも呼ばれますが、夏の興行の blockbuster の名前を広く定着させた最初の映画は Jaws ということです。
イギリス英語では基本的に映画は film と呼びます。アメリカ英語では movie と呼びますが、アーティスティックな作品や映画を芸術として捉える時はアメリカ英語でも film と表現します。逆に芸術とは反対の種類の映画のことをカジュアルに flick と言うこともあります。例えば俗語で chick flick というと「女性向け映画」という、ちょっとバカにした感じの表現として使うこともあります。毎年、アカデミー賞の選考と授与を行なっている団体の正式名は The Academy of Motion Picture Arts and Sciences というように、映画の学術的に呼ぶときには motion picture となります。また cinema は映画産業・芸術などを意味し、大学の映画学科のコースが cinematic art や cinematic history となります。
映画館はアメリカ英語では movie theater ですが、イギリス英語では cinema が映画館です。昔は座席の予約ということはなかったので、blockbuster の 映画館の前の長蛇の列はよく写真で見ることができます。この列も映画には良い宣伝になりました。列が並ぶ先には切符売り場があります。この箱型の窓口のことを box office といい、転じてthe box office は興業の売り上げという意味になります。
blockbuster に次ぐような大ヒットに smash hit というものもあります。また逆に興行的に失敗したものを flop といい、flop は動詞として It flopped. などとも使えます。また失敗作には turkey という呼び方もあります。映画会社 (studio) の屋台骨を支える、巨額の制作費で作られ安定した収入をもたらすドル箱映画を tentpole と呼びます。興行が芳しくなかった映画のマイナスを補う studio の強い味方です。
ヒット映画は再上映なども行われますが、再上映は rerun となります。TV なら再放送ですね。映画の昼の興行を matinée と呼び、人気の夜興行よりもちょっと安く見られたりします。
ヒットのための重要な宣伝ツールに映画の予告編があります。予告編は trailer です。 preview とも呼ばれます。 trailer が予告として観客を引き寄せるものであるのに対して、観客を映画館から遠ざけるものが spoiler (台なしにするもの = ネタバレ) です。見ていない映画の結末を話す人は映画に愛がないですね。映画会社自身もネタバラシをすることもあり、Terminator Genisys (ターミネーター:新起動 ジェニシス/2015) のように trailer が spoiler になっていた映画もありました (ちなみにこの映画はポスターもネタバラシをしていました)。
映画の成功には映画ファンの存在が大切です。映画ファンの呼び方はいくつかあり、cinephile (シネファイル) は映画愛好家で、フランス語でシネフィルと発音し日本でも使われているようです。その他に moviegoer (ムービーゴア) や、イギリス英語になると映画は film なので filmgoer や、 cinemagoers になります。movie buff という呼び名もあります。皆さんには当てはまりますか。