連日、野球のニュースで、ロサンゼルス・ドジャースの話題を耳にします。ロサンゼルスはお馴染み南カリフォルニアの大都市です。
アメリカも土地の名前にはその場所の歴史が反映されています。例えば、南部ルイジアナ州はフランスのルイ14世の土地ということを意味していたり、ジョージア州はイギリス王のジョージ2世の名前を取ったものです。ニューヨークはイギリスのヨークの名をとって新ヨークとなりました。中西部のカンザス州やネブラスカ州などはネイティブ・アメリカンの名前を付けています。カリフォルニアはスペイン領だったことから、地名にはスペイン語の影響が多く残っています。Los Angeles はスペイン語がもとで、英語にすると The Angels ということで「天使たち」といったところ。大谷翔平選手のいたメイジャーリーグの Angels はそのロサンゼルスを本拠地としていることもあり「天使」という球団名ですね。
大谷選手が移籍したドジャースの本拠地もロサンゼルスですが、ドジャースのことを伝えるTV ニュースで日本のレポーターが「ロスでは 〜」と話していました。一時期、ロスという呼び名はロス疑惑で印象が悪いから辞めましょうといわれていましたが、事件の風化と共に「ロス」という名前が生きながらえていますね。日本人が使うロスという呼び方は英語でいえば " the " と言っているようなもので意味を成しません。アメリカ人がロサンゼルスのことを略して呼ぶ時は頭文字をとって L.A. (エルエイ) と言っています。たまに日本の芸能人が「ロスに行ってさ」なんて自慢話をしているのを聞くと、現地人と接触することがなかったんだろうなと思ってしまいます。また、ロスと言ったら、映画 オッペンハイマーで脚光を浴びたマンハッタン計画の ロス・アラモス (Los Alamos) もあるし、パナマの ロス・サントス (Los Santos) というのもありますね。ラス・ベガス (Las Vegas) の las は los の女性型です。
北カリフォルニアのサンフランシスコ (San Francisco) は同じくスペイン語で、San は英語の Saint と同じで「聖」という意味になります。聖フランシスコさんの名前を冠した地名です。日本では「シスコ」などと呼ぶ人がかつていました。ロックバンドのスターシップ (Starship) の曲に邦題が「シスコはロック・シティ」というのもありました (原題:We Built This City) 。日本でロスのように「サン」という呼び名とはならずに良かったですね。近くにサンノゼや、サンディエゴがあったりして紛らわしくてたまりません。アメリカの現地の人は「サンフラン」と略して呼んだりします。地名は現地で通じる呼び名で覚えておいた方が、いざというときに便利です。