英語のアンテナ

英語過敏な私のお話し

キッチンカーはカーじゃない

 キッチンカーが人気となり数が2.5倍に増えましたとニュースで言っていました。ところでこの「キッチンカー」は和製英語ですね。英語では food truck (フード・トラック《米》) や food van (フード・ヴァン《英》) になります。キッチンカーという名前は考えてみると「使う側本位の呼び名だなぁ」と思います。食べ物を購入するお客からすれば、車の中にキッチンがあろうがなかろうが関係ないですね。この法則から呼び名を付けると、アイスクリームを売る車はフリーザーカーで、コーヒーを売る車はブリューイングカー、パンを売るのはオーブンカーといったものにならないと一貫性がありません。

キッチンカー

キッチンカー

 

 日本語ではタイヤが付いているものはみな「カー」になってしまいます。そもそも、英語の car は乗客を乗せるエンジンの付いた車のことで、「乗用車」となるものです。そしてその他の車は、形や目的により wagon や truck といった呼び名に変わります。乗物という大きなカテゴリーとしては、カーではなくvehicle (ヴィエクル) が使われます。電気自動車は EV (electric vehicle) といって vehicle を使ってますね。エコカーは乗用車だけとは限らないせいか、英語では Green vehicle です。なお、乗用車以外で car になるのは鉄道の車両です。車両が carriage、coach《英》、car《米》になり、dump car は砂利や石炭などを積載して下ろす時に荷台を横にを倒す車両に使われます。日本語のダンプカーは dump truck《米》、dumper truck《英》となって、トラックです。


 キャンピングカーは英語では motorhome や、recreational vehicle、trailer house《米》、camper van、caravan《英》などになります。ベビーカーにも「カー」がついていますが、 英語の方は、椅子型は stroller《米》、pushchair、buggy《英》、箱型は baby carriage、buggy《米》、pram《英》です。面白いのは日本語のリアカーです。car の使い方は変ですが、リアという単語は知っていたんだと。それならなぜ rear-view mirror がバックミラーになっちゃったのでしょうね。リヤカーは英語では cart で、もっと詳しく説明したければ two-wheeled cart といった感じです。


 和製英語の多いクルマ関連の名前ですが逆もあります。英語では人や自転車で引っ張るお客さんを運ぶ乗り物を rickshaw (リックショー) といいます。エンジン付は auto rickshaw といったりしますが、この rickshaw は日本語の人力車の『力車』が語源です。

 

*《英》イギリス英語、《米》アメリカ英語

 

eigodekatsudon.hatenablog.com