英語のアンテナ

英語過敏な私のお話し

ヨーダの台詞に驚いた話/帝国の逆襲

 映画の話をする時に結末や重要部分がわかってしまう話を spoiler といいます。そこで「ネタバレ注意」は英語で spoiler alert (スポイラー・アラート) です。この後、スターウォーズ 帝国の逆襲の中身をお話しますが、見ていない人のために spoiler alert と宣言します。 今更、スターウォーズの人物関係を知らない人はいないと思いますが、映画ファンとして一応、spoiler alert を発しておきます。

 

 小さい頃は洋画を見るときは必死に字幕を読んでいたので、帝国の逆襲 (Star Wars: The Empire Strikes Back) を映画館で見た時は唯一字幕から全ての情報を得ていました。英語を勉強するようになり余裕もできて、何年ぶりかに帝国の逆襲をDVDで見ながら英語の台詞を聞いていると、ルークがジェダイの訓練半ばでヨーダの元を去るシーンで、オビワンの言葉に対して、ヨーダの次のセリフが出てきます。

ヨーダ/スターウォーズ 帝国の逆襲

ヨーダ/スターウォーズ 帝国の逆襲  (C) Lucasfilm Ltd.

オビワン: That boy is our last hope.
     (あの子が私達の最後の希望です。)
ヨーダ:  No. There is another.

 

 え、その台詞ってすごく重要じゃないか!

 

 There is another.  は公開当初の映画館の字幕では「いや、そうでもない」または同様の意味になっていたと記憶しています。なぜなら私にとっては情報源は字幕しかなかったので、そうだったと言えます。誰か確認できる人いませんか。今では DVD などでも字幕は「いや、もう一人いる」みたいになっているようですが、かつて、英語の原文を初めて知った時は衝撃でした。「『もう一人いる』って言ってたの? 『そうでもない』とはずいぶん違うよぉ」といった具合。当時にもう一人の存在を知らされていたら衝撃は倍以上だったと思います。

 

 でも字幕の翻訳者は苦労したんじゃないかと想像できます。ヨーダの「 another 」とは、boy に対して「もう1人いる」と言っているのか、hope に対して「もう一つの希望がある」と言っているのか解釈の余地があると思います。かつてインターネットもない時代には、ルーカスフィルムよる映画公開前の情報統制も厳しく、次の作品のジェダイの帰還 (Star Wars: Return of the Jedi) でレイアが妹と明かされることなど知る由もありません。「いや、そうでもない」は最善の落とし所だったと思います。ちなみに、ここはとても重要なセリフなので、英語ではヨーダのいつもの変わった語順の話し方はしていません。

 

 でもこの会話、腑に落ちないところがあります。後に作られたシスの復讐 (Star Wars: Episode III – Revenge of the Sith) では、オビワンは母親パドメのルークとレイアの出産に立ち会っています。すると帝国の逆襲の時点ではレイアの存在は知っていることになるので、オビワンの知らない another とは誰になるのかいうことになります。でも、まあこれは明らかにレイアのことで、ストーリーを後から付け足したことの弊害だろうと思います。たぶん… 。

 

お題「忘れられない映画やドラマのセリフ」