公園でサッカーをしている子供達がしきりに「マイボール、マイボール」と叫んでいました。日本ではサッカーでボールがサイドラインからはみ出した時などにマイボールと叫びますが、これちょっと変ですね。英語では “Our ball” または短く “Ours!” と言っています。私達 (チーム) のボールということを訴えるわけです。私のボールですと言っても私物を試合に持ってくるなと言われてしまいます。
ちょっと意味合いは異なりますが、日本ではマイカーやマイバッグもいろんなところで使われています。「マイ」が好きですね。古くはマイホーム、マイペースがあり、マイバッグ、マイブーム、マイボトルなどがあります。特に環境問題が取り沙汰されるようになって以来、マイストローやマイ箸のように「マイ〜」の氾濫はますます広がる傾向にあるようです。サッカーの時とは異なり、日本で使われるマイは「私の」という本来の意味は無く、「個人所有の〜」という意味で使われます。ジョークで「My car 持ってる?」という問いに、「何で俺がお前のクルマを持ってるか聞くんだよ。俺はドロボーじゃないぞ!」というのをたまに聞きます。同じようにスーパーのレジで、「マイバッグは持っていますか?」と人の持ち物に対して My bag と言われるのも変です。
最近、特に多く聞くようになったのが、マイナンバーカードとマイナ保険証ですね。ニュースなどで繰り返し出て来ます。個人情報の詰まったカードを、My (私の) Number Card と他人から呼ばれるのって嫌な気分です。それを言うなら a personal number card でしょう。日本の省庁はやたらと英語を使いたがるようで、マイナンバーカード (デジタル庁)、マイナ保険証やマイナ受付 (厚生労働省)、マイナ免許証 (警察庁)、それに Go To Travel (国土交通省− 観光庁) やアナログ食事券 (農林水産省) などなど。英語を使うと決めたなら発表する前に英語を話すネイティブにチェックしてもらった方がいいと思います。英語力強化を謳う国が変な和製英語を普及させていてはいけません。総務省は英語用の名前を用意していて、an Individual Number Card というようです。さすがに外国人住民には通じなかったのでしょう。余談ですがアメリカでは国民などに発行される番号を Social Security Number (ソーシャル・セキュリティ・ナンバー) と呼んでますね。
「個人で所有する〜」と英語を使って表現するなら、my の代わりに personal 〜 や、他人の持ち物を指すなら your own 〜 、自分の持ち物なら my own 〜 が使えます。将来サッカーのプロになって海外でプレーしようと計画しているキッズは my の使い方も気を付けておいた方がいいですよ。