日本では「グルメ」という言葉をいろんなところで耳にします。でもこのグルメは使い方が少々おかしいですね。グルメの元となった gourmet (グルメイ、ゴーメイ) は、元はフランス語で、英語にもなっています。日本では「ご当地グルメ」や「絶品グルメ」、「抽選でグルメが当たる」といった使い方をよく聞きます。しかし英語の gourmet には「料理」という意味はありません。
オックスフォード英英辞典には
a person who knows a lot about good food and wines and who enjoys choosing, eating and drinking them
つまり人のことです。グルメは名詞として使われると「美食家」や「食通」という、美味しい食事を楽しむ人を意味します。抽選で美食家が当たって家に来られても、狭い家には泊めてあげられないし、美食家なので食費もかかりそうで困ります。(笑)
英語では、gourmet は美食家という名詞としての使い方よりも、何か単語を後に伴って「グルメの〜」と使う形容詞として使われることの方が一般的のようです。例えば gourmet shop や gourmet chef という使い方です。抽選で当たる料理なら gourmet meal と言ったりすれば、豪華で美味しい食事といった意味になります。
gourmet:
(名詞) 美食家、食通
(形容詞) 美食な、グルメ好みの
なお日本語の国語辞典には、グルメの意味は本来の「食通、美食家」とだけあります。「ご当地グルメ」などはマスメディアによる誤用でしょうか。前回のソウルフードと同様に使い方を間違った言葉ですね。