ショッピングに行って目的のものが見つからなかったと言うと、友人は「来週末にリベンジだね」と言いました。日本では、前回うまく行かなかったことを再度チャレンジすることをリベンジと呼んでいますが、この使い方に違和感があります。英語の revenge は苦痛を与えられたことに対して復讐をするという、恨みの積もったとてもダークな言葉で、軽々しく「もう一回がんばろう」などという使い方には不釣り合いな単語です。日本語の理解できる英語ネイティブ・スピーカーにも変だと指摘を受けたことがあります。
さらに、テレビのニュースの中で「リベンジ消費」と、ニュースキャスターが真面目な顔でニュース原稿を読んでいました。コロナ禍の反動で我慢していた消費を一気に爆発させるというようなことを意味して使っていましたが、復讐消費とは物騒な買い物です。日本人が変な英語をしゃべるのは、一つにはマスメディアの責任もありますね。
映画スターウォーズのオリジナル3部作の最後の作品に「ジェダイの帰還」があります。制作段階で Revenge of Jedi という名前が候補になり制作が進んだそうです。しかし途中で高潔なジェダイは復讐はしないということで、 Return of Jedi が最終的にタイトルに決まったそうです。その後に作られた新3部作では Revenge of the Sith (邦題: シスの復讐) という作品があります。シスは邪悪だから Revenge という言葉が似合っているということでしょう。
似たような単語に avenge があります。revenge も avenge どちらも日本語訳は「復讐をする」という意味になります。revenge は名詞で使われることが多く、avenge は動詞のみの単語です。avenge はもう少し正義のための仕返しに使われるようで、悪い事をした悪を成敗するようなイメージのようです。そのためヒーローの戦いなどにも使えて、マーベルの正義の味方が集まった Avengers というグループは、復讐ではなく正義の戦いをしているのです。